
ななこ
@naco__1234
2026年9月30日
舟を編む
三浦しをん
読み終わった
昨日読み終わりました!
『風が強く吹いている』『愛なき世界』を読んだ時もそうだったのですが、三浦しをんさんの長編は読んでいる時の没入感がすごいです。
その業界を全く知らない私でも楽しめるように詳しい描写が分かりやすく書かれていることと、登場人物は親しみやすく共感できるからでしょうか。
私もまるで辞書を一冊編み上げたような、胸が熱くなる思いで読み終わりました。
それぞれ性格の違う登場人物が、皆違った悩みや葛藤を持ちながら、仕事に向き合い、それぞれが作用しあってひとつの辞書を作り上げるというストーリーが本当に良かったです。
個人的にはまじめさんと西岡さんの関係性がとても好きです。
名よりも実を取ろう、と決意した西岡さんが、彼の強みを生かして宣伝広告部で大渡海の出版に華を添え、そしてまじめさんによって巻末に名を飾られたこと。ここの流れがとても素敵でした。
それから、涙するようなシーンではないのかもしれませんが、岸辺さんの視点から書かれた第四章。
233ページ、
「人間関係がうまくいくか不安で、辞書をちゃんと編纂できるのか不安で、だからこそ必死であがく。言葉ではなかなか伝わらない、通じあえないことに焦れて、だけど結局は、心を映した不器用な言葉を、勇気をもって差しだすほかない。相手が受け止めてくれるよう願って。」
「たくさんの言葉を、可能なかぎり正確に集めることは、歪みの少ない鏡を手に入れることだ。歪みが少なければ少ないほど、そこに心を映して相手に差しだしたとき、気持ちや考えが深くはっきりと伝わる。一緒に鏡を覗きこんで、笑ったり泣いたり怒ったりできる。」
この部分を読んだ時、私は胸がいっぱいになり、涙が溢れそうになりました。
相手に気持ちを伝えたくて、言葉に向き合い、真剣に悩む。多くのひとが経験することだと思うのですが、私はおそらくこの「言葉に向き合うことで自分の思いを誰かに伝える」ということにかける比重が人生の中で重く、私のそんな思いを肯定してもらったような気持ちでした。
辞書を編纂することは私の人生ではありませんが、これからも言葉に真剣に向き合い、言葉を大切にしながら生きていこうと思いました。
そして最終章で、大渡海の装丁が描かれるのですが、特別カバーの仕様が全く同じであることに気付き、大興奮しました。
装丁に関する描写と本のカバー、帯とを何度も見比べました。
こういう仕掛けが本当に大好きです。改めて、「本」とい媒体の素晴らしさを実感しました。
人におすすめしたくなるような、こらからも何度も読み返したいと思うような、最高の一冊でした。






