
ななり
@bluebook_mark
2026年9月30日
たぶん、恋しい
一穂ミチ
読み終わった
全六篇が不在やコミュニケーションのすれ違いによる遠さを描いていて、だからこの短篇集のタイトルには愛しいではなく、恋しいという意味の中に相互間の距離を内包する言葉が、あやふやさ(“たぶん”)とともに置かれているのだと思います。不器用な人たちの物語を読んでかれらの心の揺れに大小の共振をする度に、そもそも器用な人間などいないのだということを教えられて私はとても安心する。読まれる側と読む側の絶対的な距離のなかで、かれらに対して芽生えるこの温かな感情もまた、たぶん、恋しさではないだろうか。


