
碧の書架
@Vimy
2026年10月1日
デモクラシーのいろは
森絵都
読み終わった
歴史フィクション@碧の書架
素晴らしい作品。作家様の想像&創造力と知識が織りなした至高の逸品、って思った。脱帽。
まず内包するテーマが多い。民主主義、戦争や戦争孤児、貧困、人種や女性差別、歴史の上に成長物語や恋愛、ミステリ要素まで、これでもか!ってくらい詰め込まれている。非常に難しい話を、物語として面白く、出来うる限り読みやすく書いていると感じた。この作品には、宝石箱という言葉より幕の内弁当、が似合うかな。
ネタバレにならない程度に特に印象深い部分を述べると…
おにぎりを食べる喜びの描写がよかった。あの書き方によって戦中の凄まじさが窺える。
衝撃だったのは、和田先生。戦後の学校教育で試行錯誤しながら社会科で民主主義を教える先生の男尊女卑に、思わず前のページをめくってしまった。あれ、私がさっき民主主義の授業のシーンで見たのはどの先生だっけ?って。女子生徒もいたよね?とか。でもこれ、見聞きしたことがある女性が多数いるんじゃないだろうか。現代でも田舎の盆正月や法事なんて、座敷に座ってるのは男性だけ、なんてことがあり得るし。ちょっとこの感想はジェンダーバイアスかかってるかもしれないけど、民主主義の話でこれを入れて来たのは女性作家ならでは、のように私は感じた。
登場人物個別のストーリーも面白く、もっと前後の話を知りたいくらい愛着が湧いてくる。私はあんまり恋愛に関心がなくて、少女漫画的なすれ違いや安易なハッピーエンドが大嫌いなタイプです。(それ故に長い日記形式の部分は一瞬飽きるかもしれないと危惧したけど大丈夫だった。)他の作品ならここで終わりそうだよなって所で一旦堪えてからのハッピーエンドには純粋さやら美しさを感じ、「まぁ許してやろうか」という気持ちになれました。すみません、何目線だよという高飛車さですが…w
歴史好きとしては、GHQは本当にこういう実験をしていたのか、元となった話があるのかとか考えてしまう程、戦後この時期ありそうな話が小話含めてたくさん差し込まれてる。解体された財閥の中には、こんなにど根性で図太く生き残ろうとした人がほんとにいたのかな、とかw
行間から書いていない知識が立ち昇ってくる骨太な文章で、読後感もよく、実に良い読書体験をさせていただきました。森さんありがとう!




