梔子 "炭酸水と犬" 2026年10月1日

梔子
梔子
@asago_404
2026年10月1日
炭酸水と犬
炭酸水と犬
砂村かいり
9年付き合い、その半分近くを同棲して結婚まで秒読みだった彼氏から「他にも恋人が出来た」と告げられ、怒りと悲しみで混乱し戸惑う中、主人公にも好意を向ける男達が…。結婚や恋とはなんたるかを思い知る。 ネタバレありの少し辛口評価↓ 『アパートたまゆら』と、同コンテストで同時受賞からの同時刊行ということで、あまり期待していなかったのだけれど、文体は最近の砂村さんに近くてだいぶ読みやすかった。ただ、こういう結末にするなら、尺使う所をもうちょっと変えたほうがよかったのでは…と思ってしまった。 彼氏は当然クズで、それでも9年付き合い、同棲して三十路で仕事も派遣で不安定だからさっくりと別れに踏み切れないというのは当然だろうけど、あまりにグダグダしてたなぁと。それは誰がどう見ても怒らなきゃダメだろう(というか、ここまできたらもう呆れないか?)というラインが何度もあり、けれど何も言えないままというの物語の三分の二以上だらだら繰り返して少し疲弊してしまったのと、次の恋に乗り換える展開の速さと唐突さについていけなかった。もちろん彼氏の弟が主人公を好きなのは最初から分かっていたけれど、主人公の弟に対する気持ちが全然フラグになっていなかったように見える。ちょいちょいあったけれど、彼氏との出来事がインパクト強すぎて霞んでいた。そりゃこんな状況なら自分の味方でいて、優しくしてくれる人に対して気分が上がっている&単に可愛がってるふうにしか見えず、噛ませ犬だった志賀さんと同列に感じた。せめて彼氏に恋人のこと切り出される前の日常を最初に描かれていれば違和感も少なかったかも。 主人公の年相応の生々しい悩みや人に好かれたい欲が多い割に、長年の自分に好意を向けてきた人の想いに気づけなかったのも違和感と、弟くんの行動は運命などそれっぽい雰囲気にして誤魔化していたけどほとんどストーカー。これは恋愛ものあるあるなのかもしれないが、その他の描写が丁寧でリアルが故にノイズになっていたように思う。 あくまで個人的好みにはなるけれど、仕事ぶりが評価されて正社員になれる話もあったし、三十路の独身女性の何も悪いことをしていないにも関わらず居心地の悪さというものを長々語っていた、のだから、男達を振り払って一人で生きていく選択をするオチだったなら、すごく好きな本になっていた。 とはいえ、ストレス続きでも続きが気になってサクサク読めたのはやはりそれだけの文章力がある方なのだと思うし、結末も無理矢理ハッピーエンドにした感は否めないけど、クズ彼氏と別れてれてくれたのはよかった。最後の最後で向き合えたということかな。クズ彼氏とその恋人にもっとちゃんと痛い目あって欲しあったけど、極端かつ、こういう人いるよなぁとか深掘りはしていないけれど設定との整合性の取れた言動がリアルでちゃんと腹が立つ(褒めてる) でも表紙とタイトルに関しては、わざわざそれにした意図が分からない…。新しい恋に行ったのに、どうして、クズ彼氏の恋人を象徴するものだったのだろう?
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved