
野家(neue)
@tolle_lege
2026年9月29日

鶴 ――長谷川四郎傑作選 (ちくま文庫は-57-2)
堀江敏幸,
長谷川四郎
読み終わった
講談社文芸文庫版『鶴』を読了。
収録作で特に気に入ったのは「張徳義」「ガラ・ブルセンツォワ」「脱走兵」「可小農園主人」あたりか。
戦争文学なのに文体が穏やかでユーモラスでさえある。だからこそ、描かれる人物が実在するかのようなリアリティを持って立ち現れ、その生き様が胸を打つ。
描かれている状況は悲劇なのに、演出は悲劇的でない。登場人物はただ静かに時代に翻弄され、静かに息絶える。
そのような英雄的でない人生を描くことは、声もなく散っていった人々の救いとなっている。