食いしん坊ちぇりぃ "アニータの夫" 2026年10月2日

アニータの夫
アニータの夫
坂本泰紀
アニータ事件…学生時代にニュースで扱われていたのをチラッと見たような記憶はあるものの、当時は遊ぶのに忙しくて特段注視することなく。「外国人のホステスに入れあげて言われるがままに横領した地方のおじさん」みたいなイメージしか無かった。 本を読むとアニータは首謀もしてなければ教唆すらせず、ただ金の無心をしていただけだった。大金持ちの男が自分に好意を寄せて巨額の金をくれて、自分には養わないといけない家族がいて極東まで出稼ぎに来て売春までしているような状況なら、そりゃある分だけもらおうと思うだろうね、とアニータ側の心理は理解できた。その後の生き様も言い分も、何が真実か分からない中でも納得感はあった。 一方の千田。本の半分は千田のモノローグ形式で、時折ちゃちゃを入れる感じで著者(記者)の俯瞰コメントが入る構成。千田一人称での語りを読まされているのに、千田については事件の動機も人物像も何ひとつ理解が及ばず困惑ぅー!アニータに「だまされた」という認識になっているのが謎過ぎる。大して好きそうでもないけど、当時は入れあげてたのか…?それすら謎。釣り、山菜採り、将棋、歌と人生を豊かに送れる材料を人一倍持っていて、更にそれぞれ人より長けているにもかかわらずこんなことになっちゃうなんて、器用過ぎて人生つまんない男に送られた悪魔からのプレゼントがアニータ事件なんだろうか、とか思った。 一見小説のように見えるデザイン性の高い表紙が素敵。中身は実直な記者のルポベースだから、なんかギャップが面白い。
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