
しゅう
@shuu62
2026年10月2日

読み終わった
読了。たいへん読み応えのある傑作だった。
モチーフは吹雪の山荘と見立て殺人たが、これらに「館シリーズ」ではおなじみの概念である「場の力」を持った館が交わるとこうなるのか。
名前の奇妙な暗合や、作中で解釈されるような予言めいた出来事など、いくつか超常現象的なものは示されるが、ハッキリと超常現象の実体が描かれる事はなく、登場人物、及び読者の解釈に任されている。
その超常的な部分と、一連の殺人事件の論理的解決の部分のバランスがちょうど良く、幻想ミステリーとも言うべき整合性が保たれていると感じた。
1つ惜しいなと思ったのは、作中の初めから示唆されている館に暮らすもう一人の人間だ。
結果的に彼が真犯人を指摘する形にはなったのだが、彼を屋敷の人間全体で隠す意図がわからず、なぜ彼がこの物語に必要なのか、読み取る事は出来なかった。
穿った見方をすれば、途中ずっと匂わされてきた不審な存在は、この物語の幻想性、怪奇性を担い、終盤でその姿を明かし事件を論理的解決に繋げる姿は、この物語のミステリーとしての合理性を担う存在なのか、とも思った。
そういえば、上巻のはじめに「もう一人の中村青司に捧ぐ」という文章があり色めき立ったのだが、作中なんら関係する話は出てこず、何だったのかと思っていたのだが、巻末に載っている綾辻本人へのインタビューで1つの事実が明かされる。
ア、なるほど。と思ったのだが、是非気になる方は巻末までしっかりチェックしてもらいたい。