
Tomy
@books_tomy
2026年10月2日
カフネ
阿部暁子
読み終わった
心に沁み渡るいい話だった。
料理の描写が作中沢山出てくるけど、話自体も滋味深い味わいのよい小説だった。
ミステリというわけでは決してないんだけど、主人公薫子の弟の春彦の死に謎がある点は読んでて引き込まれたし、最後にはちゃんと謎の理由が判明してスッキリした。
作者の人物・心理描写が非常に巧みかつ繊細で、主人公の野宮薫子や春彦の元恋人の小野寺せつななどなど、ちょっと難があるキャラクターだったり人間の嫌な醜い感情の描写も含めて愛さずにはいられないような人物造形がとても上手いなあと。上記以外にも魅力的な登場人物が沢山出てきて、個人的なイチオシキャラクターはせつなの勤める家事代行サービス会社カフネの社長の常盤斗季子さん。
最後まで読んで、家族だろうが赤の他人だろうが人と人との繋がりのあり方は自由だし何にも規定されてないんだよなあと改めて気付かされた。
出てくる登場人物は人生に絶望していたり、自分を生かすということがままならなかったり、精神的に追い詰められていたりとギリギリの生活をしている人が多いのに、みんななんとか懸命に生きようとしている姿が押し付けがましくなく、心に寄り添ってくれるような作者の優しさを感じて勇気づけられた。



