
まめご
@mmg_86
2026年10月2日
ブーズたち鳥たちわたしたち
江國香織
読み終わった
積読消化
Readsのポストにはカッパとか天狗とか不可思議とか賑やかとか、いつもの江國作品とは少し毛色の違う言葉が並んでいて、どういうことだろうと少しわくわくしながら眺めていた。
早く読めばいいのに妙に構えてしまい、やっと手にとれたと思うとあっという間に引き込まれてしまった。
わああ、新境地ってこういうことか、わあああと思いながら読み、一気に読み終えたらなんだか元気が出た。
緩やかに繋がる3つの中編からなるこの本には、徹頭徹尾生気が満ちている。
人と動物と死者(!)と、それから人知を超えた存在の、それは圧倒的な命の気配だ。
死者の命の気配というのも変な表現だけれど、作中で死者たちは肉体を離れただけの意思のある者たちとして存在している。
そしてカッパ、天狗、「わたしたち」。
神様よりももう少し人に近い、でも人知を超えた者たち。
その、人と動物と死者と人知を超えた存在がそこらじゅうにひしめき、溢れ、野放図に活動する様が描かれている。
それは生命への祝祭なのだと感じた。
自分の肉体と感覚を十全に使って自分の感情に素直に生きることを、こんなに高らかに寿ぐような書き方は、確かに今までの江國作品にはなかったように思う。
それにしても、何事にも徹底した効率化が良しとされ、べき思想と同調圧力でがんじがらめになっている現代の私たちに、まっすぐにこんな物語を撃ち込んでくる江國香織の気骨には惚れ惚れする。
初期の恋愛小説やご本人の纏う雰囲気から、柔らかなイメージが強い人ではあるけれど、私はずっとこの人の作品に通底する反骨精神のようなものにも惹かれてきたんだった、と思い出す。
現実にはどうしたって自分以外の諸々と折り合いをつけながらにはなるけれど、せめて自分の本音がどこにあるかくらいは、いつも見失わずに生きていたい。







