いぬい "カラマーゾフの兄弟 1" 2026年9月22日

いぬい
いぬい
@inuiru
2026年9月22日
カラマーゾフの兄弟 1
カラマーゾフの兄弟 1
ドストエフスキー,
江川卓
連休中に再読。 65p " 長老というのは──人の魂、人の意志を、自分の魂、自分の意志の中に取りこんでしまう存在なのである。いったん長老を選んだなら、人はおのれの意志を捨て、完全な自己放棄とともに、自分の意志を長老へのまったき服従にゆだねることになる。そう発心した者が、このような試練、このように恐ろしい人生行路をすすんでわが身に引き受けるのは、長い試練ののちにおのれに打ち克ち、おのれを統御しえて、ついには全生涯の服従を通じて今度こそ完全な自由、すなわち自分自身からの自由を獲得できる、そして、一生涯をただ漫然と生きたばかりで、結局は自分の中に自分を発見できずに終る人々の運命を免れうる、という希望があればこそである。" 71p " おお、彼はこよなく理解していたのだ。労苦と悲哀に、いや、それにもまして、恒常不変の不正と、自分のみならずこの世のたえざる罪に苦しめられている、ロシアの民衆の忍従の魂にとっては、聖なる物もしくは聖なる人にめぐり合って、その前に身を投げ、ぬかずきたいという欲求と慰め以上に強いものは何もないことを。" ロシア民衆のあいだではこの世界のどこかに真理あるいはそれを知るひとがいる、という信念があったようで、こういう「信じる価値のあるものに巡り会って、それに身を捧げたい」という欲求は理解できそう……と言うか、いわゆる現代の推し活に近いニュアンスを感じた。『虚史のリズム』でも「何かを信じたいけど、何を信じたいのか分からない」というくだりがあって興味深かったのを思い出した。 あと植物性油脂を「精進バター」というくだりを呼んで、マーガリンのことを「精進バター」と呼んだら体にいい感じでは……と思った。
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