たにこ "どうしても生きてる" 2026年10月3日

たにこ
たにこ
@chico75_11427
2026年10月3日
どうしても生きてる
人に言うほどではない、言う必要がない、言いづらい痛みを抱えながら何とか生きている人の短編集。 痛みの種類、伝え方がとても心にズシンとくるような描写が上手い。 インザメガチャーチでも思ったが、人のうっすら醜い内心を表現するのが細かくて胸に刺さりやすく描かれる方だと思う。 どうしても生きてる 籤 が個人的に印象深かった。面白かったけど元気な時にしか読めないかもしれない笑
たにこ
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@chico75_11427
いつからだろうか。体の内側から湧き出てくる泉というか、細胞の隙間から何かが滴るほどの豊かさのようなものが、どんどん喪われている感覚がある。 (中略)人間を成長させると言われているあらゆることが、自分にとってはどうでもいい。適度に働いて、税金も納めて、そのまま日々を過ごし続けたい。それがひどく怠惰なこととして数えられるようになったのはいつからなのだろう。(P28) 自分と他者に、幸福と不幸に、生と死に、明確な境目などない。(P35) 初めて死亡者のアカウントを特定できたときに感じたのは、自分でも驚くくらいの安心感だった。人がいなくなることに前触れなんて何もない、という、健やかさからかけ離れた論理を視覚的に実感できたとき、いつだってずっと少しだけ死にたいような自分に暖かい毛布を被せてもらえたような気持ちになった。(P37) あるとき何の前触れもなくこの世界から消えてしまいたくなるときがあるように、何の前触れもなく、この世界にいる誰かを想う自分の存在を熱烈に感じるときがある。いつだって少しだけ死にたいように、きっかけなんてなくたって着え失せられるように、いつだって少しだけ生きていたい自分がいる、きっかけなんてなくたって暴力的に誰かを大切に想いたい自分がいる。(P47) 毎日どこに目を向けても、何かしらの情報が目に入る。生き抜くために必要なこと、必要な知識、今から備えておくべきたくさんのもの。それらに触れるたび、生きていくことを諦めろ、そう言われている気持ちになる。(中略) 生きていくうえで何の意味もない、何のためにもならない情報に溺れているときだけ、息ができる。(P130〜131) 「大人になればなるほどさ、傷ついたときほど傷ついた顔しちゃいけないし、泣きたいときほど泣いちゃいけないよね」 「痛い時に痛いって言えれば、それでいいのにね」(P238,239) 吉川さんは、痛いことが気持ちいいわけじゃないんだよ、多分。 痛いときに痛いって大きな声で言えることが、気持ちいいんだよ。 痛いときに痛いって、限界のときにもう限界だって、もう無理だって大きな声で言っても驚かない相手がひとりでもいる空間に、いたかったんだよ。(P241)
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