無題 "坂口恭平躁鬱日記" 2025年4月10日

無題
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@______enrai
2025年4月10日
坂口恭平躁鬱日記
バラナシで、僕はホーリーマンになっていた。サドゥー(行者)の友達がたくさんできた。お前は日本から、しかも金も持たずに、と。インドで金を持たずに生きているということは聖者であった。僕はそのときの彼らから受けた羨望のまなざしを、光を見つけたように見つめられた体験を、そんな自分を忘れることができない。そのとき僕は、生まれて初めて自分が聖者であることに気づいてしまったのだ。バラナシつまりガンジス川の岬で。 僕はそのままバラナシヒンドゥー大学の学生に拾われ、彼らの寄宿舎に居候することになる。毎日、三〇人くらいのインド人学生たちと熱く、未来を語り合っていた。 僕はそのとき一〇〇パーセントだったと今でも思っている。あのときの僕の方が今よりも鋭利で、豊かだったことを知っている。 「坂口恭平躁鬱日記」P200−201
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