DN/HP "IQ2" 2025年4月10日

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2025年4月10日
IQ2
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ジョー・イデ
さて。この続篇では前作であったような、主人公の冷静で頭脳明晰な「探偵」キャラが剥がれ落ちて、世界に馴染めない一人の青年の孤独が剥き出しで描かれる。途中で読むのが少ししんどくなってしま(うときは「鬼平」を二、三話読む)った。きっと誰しも、勿論わたしにも、世界に取り残されたような孤独を感じることがあるから。人生の悲劇の謎と、私欲で背負い込んだ事件と同時に、そんな人生も解決しようとする。その過程で他人に抱いていた理想が崩れていく様もリアルでハードだった。少しへこむ。 それでも、そんな彼の隣には引き続き元ギャングスタ —彼は世界とパートナーに受け入れられ、人生を進めつつある、そのことで相棒関係も“進んでいく— と、今回は前作で救ったピットブルも居るのだ。ソウル歌手にちなんだ名前をもつ彼は主人公のために暴力を使うことはなかったけれど、それでも、あるいはだからこそ、とても賢く優しく、そして自由に描かれる(のはピットブルが危険なだけの存在ではない、と訴えているのだ。重要)。もちろんかわいい。彼が隣にいることで主人公の孤独も人生も救われ、新しい物語が始まる兆しが訪れる。そう読みたい。だって犬は人にとってそういう存在だから。つまりこれは、わたしがいつだって読みたい「ピットブルを救うことからはじまり、ピットブルに救われる物語」でもあるのだった。彼がキーになったり活躍もしそうな続篇も翻訳されて欲しい。
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