
Haruhito
@haruhito27_reads
2026年10月3日
今夜、すべてのバーで 〈新装版〉
中島らも
読み終わった
死へ向かっていくアルコール中毒者の体験記であり、小説的な技巧を用いて、”それでもこの世界にとどまるだけの価値”を浮かび上がらせる。
中島らもの小説を初めて読んだが、漫画的なキャラクターやユーモアとインテリ趣味や医療パートの学術的な堅い記述がいい按配で溶け合い、嫌味のないルポルタージュになっていた。依存や中毒者の心理に説得力があり、『酒をやめるためには、飲んで得られる報酬よりも、もっと大きな何かを、「飲まない」ことによって与えられなければならない』と定義された、フィクショナルな救済もシンプルなのがかえって良かった。
「この世にあるものはすべて人間の依存の対象」とし、「”依存”ってのはね、つまり人間そのもののことでもあるんだ」と言い切る。その上で、『「教養」のない人間には飲むことくらいしか残されていない。「教養」とは学歴のことではなく、「一人で時間をつぶせる技術」のことである』ってところも。
命あっての物種。呑んべえたちに「乾杯」の音頭を。

