かも "いい子のあくび (集英社文庫..." 2026年10月4日

かも
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2026年10月4日
いい子のあくび (集英社文庫)
高瀬隼子さんの作品を全て読んでいるわけではないけれど、いままで読んできた全ての作品に共感できる。なぜなら性格が悪いから。もっと言うと社会や他人に対して抱えている不満が似ていると感じるから。 「いい子のあくび」もこれまで読んできた作品と同じく、主人公はみんな社会的に見ると「普通にいい人」で、誰に言われたわけでもなく、無意識的に「いい人」の行動ができる。若いうちは何の疑問も抱かないけれど、歳を重ねて社会の仕組みや歪みに気づくとともに、「割に合っていない」という気持ちが芽生える。 その気持ちに折り合いをつけるための行動も、金閣寺を燃やすほどの突拍子のないことではなく、歩きスマホの人を避けない、親友の結婚式に出ないなど、めっちゃわかる、それできるならやりたいと思ってたと共感できる手段ばかりで、読んでいてスッキリする(とはいえその行動をきっかけに主人公の生活はマイナスに転じてはいくけど)。 私も収録されている3作品の主人公と同じように、会社では誰もやらない仕事を渋々拾って誰にも感謝されなかったり、飲食店で自分だけが店員さんに愛想よく対応していたり、飲み会であんまりコミュニケーションが上手じゃない人をあてがわれて、他の人は別グループで楽しそうにしているのを見ると、「割に合っていない」というフラストレーションを感じる。きっとみんな割に合わない場面を各々持っていて、見えないけれど社会はみんなの割に合わないけどやる(しかない)行動で成り立っている。 そう思っているから主人公のような大胆な行動は取れないけど、気持ちはわかるしスカッとする。でもやっぱり主人公たちはそれなりのしっぺ返しを食らっているので、同じ行動は取らないけど、性格の悪い友人同士でタブーなく喋っている時のような気分になる。 高瀬さんの作品は人間の性格の悪さをとことん描きながら、「いい子のあくび」のラストに主人公に届く望海からのLINEのように、希望になるような(特に同性からの)善性が出てくること。まだ読めていない作品もあるので、どんな性格の悪い人や本音が出てくるのかを楽しみに、これから読んでいきたい。
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