powder0311
@powder0311
2026年10月4日

逃亡くそたわけ (講談社文庫)
絲山秋子
読み終わった
単行本も持っているけど、文庫を見かけたので思わず買ってしまった。傑作だよなあ。
「それに俺のマヨネーズが……」
「しゃーしかねえ、また買えばよかろうもん」
「もう帰れないよなあ」
なごやんは諦めきった顔をした。青看板が近付いて来て、あたしは言った。
「どこまで行くとかいな」
答のないことは判っている。言ってみたかっただけだ。
「知るかよ、君が言いだしたんだよ」
なごやんが細い目になってつんけんするので、あたしは低い声で、まっすぐいこ、と呟いた。この車にも慣れてきた。あたしの脳にはキョクアジサシのように南へ行く、ということだけが刻み込まれていて、それ以外に正しいことは何もないように思われた。

