
ゆらゆら
@yuurayurari
2026年10月4日
雨月物語
円城塔
読み終わった
読みやすい現代語訳で、怖くて哀しくて不思議な話9篇。溝口健二の映画の原作というだけでなく、今に繋がる色んな怪異小説・漫画・落語などの源泉になってるんだろうなあと思ったけど、それが古典ということなんだな。特に「菊花の約」と「邪性の淫」が好き。
「菊花の約」は、義兄弟の契りを交わした兄の方が牢に囚われ、義弟との約束を果たすために…という話で、落語の「重陽」の原作らしく、改めて喬太郎師匠の「重陽」を音源で聴いたら、特に結末のサゲがけっこう違ってて、落語らしい強引な地口落ち(ダジャレ)で落としてて、なるほどと思った。
「蛇性の淫」は、豊雄に執着する真女児(大蛇)の方に感情移入してしまって(お付きのまろやも可愛い)、何だか気の毒な気持ちに。
他にも、豊臣秀次とその家臣の霊が高野山に現れる「仏法僧」とか、崇徳院の霊が現れる「白峯」とか、出てくる霊たちも憎めない。
巻末の国文学者・長島弘明さんの「解題」も面白く読む。上田秋成は、江戸後期の“文人”、すなわち専業作家ではなく、多ジャンルに手を出す人で、小説もアマチュアで“遊び”の一つと捉えてたという話が興味深かった。
あと、訳者あとがきで円城さんも書いてたように、上田秋成は、中国の白話小説(口語小説?)の影響を受けてるらしく、ということは、この古典もまた中国の古典の影響を受けてるんだなと思うと、物語そのものの歴史みたいな大きな流れも感じられて、なんというか、愉快な気持ちになる。

