
ユメ
@yume_bookworm
2026年9月18日
白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記
小野不由美
読み終わった
感想
再読
『白銀の墟 玄の月』を発売当時に読んだときは、とにかく辛くて何度も心が挫けそうになり、それでもストーリー展開が言わずもがな巧みだから、先が知りたくて一気読みだった。
再読だから少しは辛さも和らぐだろうと思って読み始めたが、登場人物それぞれへの思い入れが増している分、ひょっとすると初読時より辛かったかもしれず、それでも物語に散りばめられている小さな希望の光を拾い集めるようにして読んだ。
私にとっての希望は、偽王・阿選の存在によって苦しめられ、明日の暮らしさえどうなるか分からないという状況に置かれても、いつか時代が変わる日が来ることを信じて備えて待つ、戴の人々の心の強さと善性だ。その在り方に何度励まされ、背筋を正され、ぐっと涙を堪えたことか分からない。
そして、そんな戴の人々にとって希望となっているのが、泰麒の帰還である。麒麟としての能力を失ってしまった少年の肩に、正当な王の行方が知れぬ戴国のすべての希望が載せられていることを思うと、そのあまりの重荷に言葉を失うのだが、泰麒はとうにそれを背負う覚悟を決めている。
阿選が新王と偽って王宮に戻るそのしたたかさには、もう『風の海 迷宮の岸』のあどけなかった泰麒の面影はない。その成長ぶりを頼もしく感じると同時に、何が彼をこうも変えたのかを思うと胸が痛む。それでも、懸命に泰麒を応援しながら物語を追いかけるほか、私にできることはないのだ。





