
NK
@nk9701
2026年10月5日

地球にちりばめられて (講談社文庫)
多和田葉子
読み終わった
言語、あるいはもっと包括的な“ことば”を巡る小説。
まず設定がおもしろい。デンマークの学生で言語学を研究する主人公は、「プンスカ」というオリジナルな言語を話すHirukoという女性と出会う。Hirukoの故郷の島国は滅んでしまっていて、なかば仕方なく、ヨーロッパ圏ならどこでもある程度通じる複合的な言語「プンスカ」を編み出したのだった。彼女の目的は、滅んでしまった自分の母国語を話す人を見つけること。その旅に主人公も同行する。
この滅んでしまった島国は、おそらく日本だろう。一度も“日本”という呼称が出てこないので、逆に現実味があった。
SFチックではあるけど、分類できないタイプの小説。物語に体温や湿度を感じた。身体言語みたいな描写も散りばめられているからだろうか。
言語は文化を超えて、生活そのもので、人間そのもので、私やあなたそのもの。生きている生身の体と重なるから、この物語は温度や感触が濃いのだろう。
読み終わってから、だれかと言葉を交わすことができるという不思議さについて考えている。
