しおばた~ "悲しみよ こんにちは" 2026年10月5日

悲しみよ こんにちは
悲しみよ こんにちは
フランソワーズ・サガン,
Francoise Sagan,
河野万里子
誇張なしで10年ぶりに小説を読んだ。 ここのところは広義の意味での自己啓発系しか読んでいなかった。 気分的にとにかく女の子のこじゃれた生活の息づかいが感じられる本を読みたくて、ざっと調べたらタイトルだけ聞いたことがあるこの本が出てきた。 久しぶりに小説を読んだ感想だが、大人になると昔よりもたくさんのものを見聞きしているからか、想像できる情景や表情が具体的になってどんどん読み進められた。 内容についての感想。 端的に言うと、それぞれの心の動きははっきり分からないが、とにかくセシルの悪だくみへの高揚感に乗せられるままどうなるんだ~?と読んでいたら、いつの間にか終わりを迎えていたというところが正直なところ。 この小説には私が投影できる人物はいなかった。本当に映画を見ているみたいに遠くの世界を眺めている感覚だった。行動に共感できることが少なかった。というか、登場人物の本当の気持ちをすんでのところで掴めそうなのにすり抜けてしまう感覚だった。これは想像力がまだ足りないのかも。 強いて言えばアンヌかもしれないが、あんな風に相手の話に聞く耳を持たない(フリ)とか、きっぱりとした揺るぎ無い態度とかできない。 でも、人物としてはいないというだけで、誰の言動や(心情を読み取れそうな)表情にも覚えがあった。セシルの人間を予想通りに動かせたという喜びとか、シリルから求められていることが嬉しくてそれを愛してると勘違いすることとか。 共感できないといったけど、思い出してみると愛だの恋だのに関する女性たちの負の感情は私にもあったものだった。燃えるような嫉妬、静かな怒り、見えない火花。 あとはそこまで感情移入しなかった代わりに、冷静にあのなにかが渦巻く海辺を俯瞰できた感じがする。 作者もしくはセシルは人間がしばしばするように何となく登場人物をグループ分けしている感じが読み取れたが、それらが愛とか快楽とかで境界がごちゃごちゃになることが幾度もあった。 そのグループ分けされた正反対とも言える人たちのどちらの言い分も気持ちも分かるな、ということもあって 白黒つけられないところが人間なんだなぁと自分に焦点を当てて改めて思った。 この本を読む間浮かべていた光景にずっといたのは、彩度をうんと高くした青空と白い大きな美しい積乱雲、深く煌めく海と、赤と白の帆を立てたヨット。らくだ色の砂と岩。絵手紙になりそうな夏の風景。
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