上山
@giQ62m8D
1900年1月1日
理由のない場所
イーユン・リー,
篠森ゆりこ
読み終わった
表紙のデザインの美しさと、帯のコピー「今日も明日も、永遠に悲しい。 あなたと話すためにこの場所をつくることにした。」に惹かれて購入。
10代の息子が自殺したことから、彼と話すための場所として作った自分の意識の中の部屋での2人の会話が続く…という作者の実体験に添った内容。しかしその情景があくまで静かに美しい言葉で綴られてゆくので、それだけの経験をしてこんな静かなものが吐き出されるのかという驚きがあった。2人の言葉遊びや生前の思い出として語られる手作りのお菓子や庭の風景の描写が美しいが、これを書くに至るまでの作者の心情を思うと、これを美しいと思っていいのかどうかわからないという複雑な感覚になる。主に会話劇であり派手なストーリー展開はないが静謐さと激情が同居していて、稀有で貴重な読書体験だった。

