
和月
@wanotsuki
2026年10月6日
余命一週間の探偵として
ホリー・ジャクソン,
服部京子
読み終わった
面白かった〜〜!!!
著者の翻訳された作品、今のところ全て特大ホームランでドンピシャに好きなので、本作もずっと楽しみにしていた。むしろ読んで終わってしまうのが勿体なくて少し寝かせてたくらい。
今までのYA(ヤングアダルト)作品とは違い、今回は一般書扱いらしい。ただ、読みやすさや軽快な文章は変わらず、600ページ超の長編ながらぐいぐい読めた。
主要人物の年齢層も上がっているが、『自由研究には向かない殺人』の主人公の延長線上にいそうなタフで皮肉屋な性格のジェットが好ましい。
相棒&幼馴染のビリーは好きにならずにはいられない人物像。主軸はあくまでフーダニットだが、2人の軽やかな掛け合いのおかげで、失われた青春を取り戻しているような気配が漂う。そこが何とも好ましい。
本作は、余命一週間の中で自分を殺した犯人を見つけ出す、という冒頭から始まる。
「どうせ死ぬから」を合言葉にフルスロットルで捜査を始めるジェットの猛進加減が面白い。同時に、容赦なく迫るタイムリミットが彼女の身体を襲い始める描写が過酷で、それを献身的に支えるビリーの姿含めて非常に辛い。
複数の意味で心拍数が上がる中読み進めていくと、周囲の抱える秘密が徐々に暴かれていく。
この秘密の切れ味が凄まじく、残酷で、悲しい。ひとまず前作の『夜明けまでに誰かが』の中盤〜終盤を乗り越えた人ならこの物語も読み進められると思う。ホリー・ジャクソンの描く“人間の業”が好きな方は是非とも読んで欲しい。
肝心のフーダニットの部分に関しては、正直著者がこれまで作り出してきた「地獄」のファンなので、メタ的に考えてこの人では?と最初から怪しんでおり結果的中。とはいえ、そこに迫るまでの過程や真相がかなり精密に練られていた為、途中で弛れることなく楽しめた。
本書は終始、絶妙なさじ加減で「人を愛すこと、人に愛されること」が生み出す甘みと苦味が行き交う。どうしてそんなことに……と頭を抱えたくなる展開が、行き過ぎた愛やすれ違う愛によって起こる。しかし一方で、絶望で真っ暗になった道に光を灯すのも愛なのだ。
当初読み終えた時はラストの衝撃に打ちのめされたが、今改めて読み返して著者の言葉が沁みる。正に「素晴らしき哉、人生!」的展開だ。
ジェットの精神的救済、ビリーの精神的成長を描いた、とても心に残る愛の物語だった。




