
ユメ
@yume_bookworm
2026年9月21日
白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記
小野不由美
読み終わった
心に残る一節
感想
再読
『十二国記』という物語は、本当に吸引力が凄まじくて、泰麒と阿選が対峙する場面では初読時と変わらないほどの絶望感を味わった。
ここからいったいどうやって道が正されるのだろう、ひょっとして再読したことによって、救いのない結末を迎える分岐に迷いこんでしまったのではないだろうか——そんな詮ないことを考えてしまうぐらい、緊迫感のある展開に惹きつけられ、そして最終盤での刑場における泰麒の一挙手一投足に涙したのだった(そういえば、発売当時に本書を読み終えた際は、緊張の糸が解けて熱を出したことを思い出した)。
「白幟のように志だけを抱いて、誰もが同じように孤立した旅を続けた結果、出会った人々の厚意が編み上げられていまがある」
「——過去が現在を作る。ならば、いまが未来を作るのだ——たとえ繋がりは見えなくても」
この巻に綴られている、李斎の心境を語る私の好きな文章だ。この結末を迎えるまでに本当に多くの犠牲があって、ひとつとして奪われてよかった命などないのだけれど、ここまで物語に登場した数多の人々一人ひとりの足跡すべてに意味があったのだ、と思う。
巻末の『戴史乍書』でわずかに言及されているだけだが、私は驍宗が新たに制定した元号にも胸を打たれた。轍囲の民が驍宗への恩義を忘れなかったように、驍宗も自らのために祈り、行動してくれた民のことを終生忘れないのだろう。復興への道は険しいだろうが、戴の未来はきっと明るいと思う。



