
チコ
@yomu0609
2026年10月7日
結婚式のメンバー
カーソン・マッカラーズ,
村上春樹
読み終わった
"緑色をした気の触れた夏のできごとで、フランキーはそのとき12歳だった。その夏、彼女はもう長いあいだ、どこのメンバーでもなかった。"
という最高の書き出しからはじまる。
自分という存在が一体なんなのか、世界とはなにか、ここではない場所へいきたい、自分以外のだれかになりたい――そんな12歳の少女のアイデンティティの揺らぎを痛々しくも、みずみずしく描いている。自分の頭の中でつくりあげたストーリーが完璧だと思い込んでしまえる世間知らずな全能感、それがことごとく現実に打ち砕かれたときのどうしようもなさ、じりじりと時間の流れが停滞しているように思えた長い長い夏休み、そのどれもに身に覚えがあって、あのころの幼かった自分のことを懐かしく思い出した。
どこか遠くの世界へいきたいという思いにとらわれていたフランキーが、ようやく出会えた友達の存在によって、ぷつりとその思考が絶たれるラストが、"気の触れた夏"の終止符のようで、とても印象的だった。