ユメ "幽冥の岸 十二国記" 2026年9月22日

ユメ
ユメ
@yume_bookworm
2026年9月22日
幽冥の岸 十二国記
心待ちにしていた新作短編集、『十二国記』シリーズ既刊をすべて再読してから満を持して読み、胸がいっぱいになった。 収録されている四編はいずれも味わい深いのだが、私は中でも冒頭の「戦場南」と、巻末の表題作「幽冥の岸」が心に残っている。 「戦場南」は、『十二国記』が伝えてくれる「ひとは変わることもできる」——さらに言うなら「過ちを犯したあと、どう生き方を改めるか」というメッセージを強く感じたし、悔い改めた者に対して周囲がどう接するのかもまた、そちらの生き様が問われるのだと思った。 そして、「幽冥の岸」。シリーズの中でも、泰麒が関わる作品にはタイトルに「岸」という語が入っていることが多いように感じていて、それは泰麒という存在が常に自らの還るべき場所、寄る辺——辿りつくべき岸辺を捜しているからだと思っていた。 だが、むしろ『魔性の子』『白銀の墟 玄の月』を読み返してからこの「幽冥の岸」に触れると、泰麒にとって故郷に残してきたあの岸辺とそこに置いてきたひと、そして岸辺に迎えが来るまでの長い年月で積み重なった犠牲がいかに心の重荷となり、同時に力の源にもなっていたのかということが理解できて、タイトルの意味がしみじみと感慨深く心に沁みた。 また、陽子と景麒が互いへの理解を深め、着々とよいバディになっていることも嬉しい。驍宗が泰麒に掛けた「民のために希望を積め」という趣旨の言葉にも想いが込み上げ、きっと慶も戴も長く続く王朝になるだろうなと思えた。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved