ケイ "魔の山 下" 2026年10月7日

ケイ
ケイ
@flyingkei
2026年10月7日
魔の山 下
魔の山 下
トーマス・マン,
望月市恵,
関泰祐
もうすぐ終わっちゃうなー、魔の山…と思いつつページをめくっています。 341〜492ページ ヨーアヒムが去り、時は流れ、ベルクホーフにショーシャ夫人が戻ってくる。ただし単身でではなく、ペーペルコルンなる60歳過ぎの裕福な偉丈夫を伴っての帰還である。カストルプ青年は衝撃を受けるが、次第にこの人物のスケールの大きさに興味を惹かれ、親しく交際するようになる。恋敵とも言える相手であってもニュートラルにその魅力を受け止める素直な態度は「単純素朴」なカストルプ青年らしい鷹揚さで、かえってショーシャ夫人が少し「ぷりぷりする」というのも面白い。 結核患者ではないけれども持病があり、老境に差し掛かりながら逞しい体躯を持ち、意味ありげな身振りで周囲の人びとを魅了する一方その言葉は尻切れとんぼというペーペルコルン、大いに飲み、食べ、病と生のいずれをも激しく燃焼させる彼に、カストルプ青年は圧倒される。言葉を超えた領域で、まさにその身に病と生を具現化しているペーペルコルンを前にすると、セテムブリーニもナフタも鋭い弁舌を見せる論客というより「おしゃべり」に見えるほどである。 そのペーペルコルンが、自らその生を、すなわち死を意志を持ってコントロールしてみせたことが、カストルプ青年にどのような影響を与えるのか。本作もいよいよ終盤、カストルプ青年が実験採択に思考を遊ばせていられる時間も残り少ない。
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