rkm @ All you need is 💙🩷️ "空中ブランコ" 2026年10月7日

空中ブランコ
空中ブランコ
奥田英朗
数ヶ月前に『イン・ザ・プール』を笑いながら読んだときに、あとは最新作の『コメンテーター』を読めばいいやと思っていたのにまちがえて『空中ブランコ』を入手してしまいました。直木賞受賞作。 おなじみの伊良部先生だから前作より落ち着いた感じがする。私には意外性は薄れたけれど、こっちのほうが前作より「安心して」読めるかもしれない。 一方で読者は伊良部先生の診断を面白がって気分を晴らしたいわけで、シリーズものならではのリピーター需要にはすごく応えているのってすごい。 前作は平凡な人たちが奇妙な症状に悩まされた。けれども本作は(誰にもできる仕事ではない)「自分自身のすぐれた実績や才能が頼り」の特殊な職業に就いているのに、その仕事を脅かしかねない症状がテーマになっている。仕事に支障を来すだけに、自分の存在意義が危うくなるわけだけど、症状の性質自体は誰にでも起こりえそうな話。 同じ仕事をずっとやってきて成功してしまうと、いつしかその仕事をやりたいと思った原点とか仕事に対する愛情など忘れてしまい、本質的ではないことに気を取られるようになる。自分らしさとかだいじなことをどこかに置いてきてしまう。 そんなことが全編通じて深刻になりすぎずに描かれてるのがいい。
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