Ayako "オービタル" 2026年10月8日

Ayako
Ayako
@aya_rb
2026年10月8日
オービタル
オービタル
サマンサ・ハーヴィー,
小澤身和子
とてもとても面白かった。 宇宙ステーションの一日と、そこで過ごす宇宙飛行士6人の意識の流れ。宇宙船の軌道(オービタル)は地球🌏の周りを16周し、地球は16回の夜明けを迎える。時間の流れの隔たり(一日は一日なんだろうけど)が、地球と宇宙の絶対的な隔たりをあらわしているように感じた。宇宙に行くってこういうことなんだ。 星空を眺める時に感じるロマンのようなものが湧かない。ずっと神の目から眺めるように描かれていくんだけど、地球は宇宙の一部なんだ、なんていう感動は感じなかった。生身で外に出れば一瞬で無慈悲に死んでしまう宇宙空間のこととか、宇宙にいる間に起こる身体の衰え、狭い宇宙ステーションの中にも持ち込まれる西と東の分断(当の6人たちはどうでも良くなってるのがいい。生活ってそういうものだよね)、宇宙飛行士は手段に過ぎない、とか、宇宙空間と宇宙開発の無慈悲さが、うつくしい文体の中にひんやりと差しこまれて、もともと宇宙に行ってみたいと思わないけど、やっぱり思わなかった。 そんな感じで「ない」という感想ばかり書いているけど、なんだかすっきりとした夜明けを迎えたような感動があるのが不思議。6人の意識の流れを通して、地球や宇宙と改めて出会い直した感じでもあるのかもしれない。 解説の中にこの作品で「現代のヴァージニア・ウルフ」と評されるようになった、と書いてあって、なるほど意識の流れ!モダニズム小説!といまさら気づいた(遅い)。 わたしは『灯台へ』の第二部、無人になり荒れていく家の描写が、まるで時の流れそのものを描いたようなうつくしさで何度も読み返してしまったんだけど、この小説もそんなうつくしさを感じた。ただ愛でるうつくしさじゃなく、容赦のなさを含んだうつくしさ、というか。時の流れって、無慈悲さを含むものだと思う。 著者は音楽のようにこの小説を書きたかったんだそう。著者の慢性不眠症の体験を書いたノンフィクションが気になって、読みたい。
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