しゅう "新装版 星降り山荘の殺人" 2026年10月8日

しゅう
しゅう
@shuu62
2026年10月8日
新装版 星降り山荘の殺人
本格ミステリに度々挙げられる本作、期待しながら読んだが、解答パートまでは本当に面白かった。 いや本当に…。本音のまま色々綴るので、ネタバレが嫌な方や本作についての苦言を見たくない方はこの行で閉じて頂きたい。 さて、フェアに、真っ向から「本格」に挑むと煽り文に書かれているが、これは本当に真っ向から挑んだ結果なのだろうか? 1つ1つ整理していきたい。 まず、本作は探偵とされる人物が犯人なのだが、それはいい。 問題は犯人(探偵)が、主人公に濡れ衣を着せようとして展開する推理に納得出来ない部分が多すぎる。 第一の殺人において、コテージの中で行われた殺人だが、コテージの外にミステリーサークルと思しき模様があった。 これについて、犯人が殺人を行った際に出来てしまったトリックの跡なのだろうかと思っていたのだが、犯人(探偵)の推理では、ミステリーサークルを作る事によって宇宙人の仕業に見せかけるという、普通は妥当性の薄い説だが、それによって混乱が生じればいい、という攪乱の為の模様だったのだ、と展開される。 閉口、いや開口である。空いた口が塞がらない。 この説については主人公を犯人に見せかける為の説なので、偽の推理なのだが、それにしても説得力が無さすぎやしないか。 そして真実としては、コテージ内の凶器であるピッケルをかけてある壁の煤を落とす為に雪を溶かした跡だったのだが、一方向の壁だけ綺麗になってたら余計怪しくないか? あらゆる点に疑問が浮かぶ。 第二の殺人では、唯一の出入り口であるドアに、第三者が入ってきたら物音が立つような、糸が引っ張られるとヤカンが落ちる仕掛けがしてあった。 しかし遺体が発見されるまでその仕掛けが発動した形跡はなかった。 つまり簡易密室なのだ、と読んでいる時はワクワクしていた。 出入り口から入ってきていないのなら、中村青司の館よろしく抜け穴があるのか?とか、そもそも部屋に侵入しておいて、殺人を行なってからドアから出ていったのか?やら考えていたのだが、真実はもっと単純なのだった。 明かされた真実は、仕掛けは発動していた。しかしヤカンがドアに引っ掛かり(?)不発だったのだ。 つまり犯人は普通にドアから侵入していたーー 不発て、そんなのアリか?? これが真っ向から挑んだ結果なのだろうか…。 納得出来ない部分はまだまだあるが、長くなりすぎるし生産的ではないのでやめておく。 重ね重ね強調するが、解答パートまでは本当に楽しく読めた。 ユーモアのある読みやすい文体、いかにも冬の山荘的な状況、何かありそうな図面にミステリーサークルなどのオカルト的要素。 これらが「本格」的な論理的帰結を迎えたら素晴らしいと思っていた…。 色々な意味で心に刻まれた本作であった。
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