
Lusna
@Estrella
2026年10月9日
茨木のり子 全日記(1)
茨木のり子
心に残る一節
『文楽の人』に現れた文楽修行にしても、向こうずねを太夫の下駄でけられ、べんとうを兄弟子にくれてやって、お腹をすかしながらその人形の足を使わせてもらうといったやり方。多くの見物を前にして、三味線ひきが、語り口が気に入らないと、何べんも何べんも同じところしか弾かず、語り手は遂に舞台でくるしさのあまり悶絶して気を失う。こんな残酷で意地の悪いやり方が、この社会では、弟子を立派にするための師匠のはからいとしてありがたられているのだ。
同じ芸道修行のものにしても、西洋にはこんなインサンで阿呆くさい修行道はないように見える。こんな伝統がまた別の形で軍隊にも姿を現していたのだとおもう。
その軍隊をのろい、二度と戦争をしないと誓った国が、又再軍備とさわいでいる。軍隊の愚かさに対する分析が欠けているとしか思えない。在来の自国文化に対する認識の不足、反省のたりなさだ。
『茨木のり子 全日記I』





