
Marua
@marua
2026年10月9日

秋 (新潮クレスト・ブックス)
アリ・スミス,
木原善彦
ここのところ『秋』を再読している。EU離脱の国民投票があった2016年のイギリスが主な舞台。エリサベスは32歳、大学で非常勤講師をしている。彼女が郵便局で順番待ちをしながら読んでいたのは『すばらしい新世界』だ。
引っ越した先の隣人ダニエルと出会ったのはエリサベスが8歳の時。ダニエルはいつもエリサベスに「何を読んでいるのかな?」と訊ねた。幾度となくふたりの過去の交流が描かれる。ほぼ70歳の年齢差がありながら、本を介してのフラットな関係がとてもいい。
現在ダニエルは老人ホームにいて、眠っている時間が長くなっている。エリサベスは見舞いに行き、心の中でダニエルと話す。
P.32
ああ、よく来てくれたね、と彼は言う。
そして彼女が手に持っている本を見る。
何を読んでいるのかな?と彼は言う。
エリサベスは本を上に掲げる。
すばらしい新世界、と彼女は言う。
ああ、懐かしい本だ、と彼は言う。
私にとっては新しいの、と彼女は言う。
本の話ができる友人がいるのは貴重だ。




