
本田読
@hoppusteppu45
2026年10月5日
はくしむるち
豊永浩平
読み終わった
沖縄弁のタイトル(白紙もどき)に惹かれて読み始めました。
圧倒されたのは、修二の少年兵としての経験を描いた部分。若い作家が、まるでその場で見てきたかのように書いているのです。その生々しさに、戦争を遠い過去の出来事として読むことができなくなりました。
さらに、沖縄のヤンキー文化と、そこから地続きになっている半グレへの道筋も克明に描かれています。例えば、主人公の友人「瑞人(みずと)」が転売ヤーから情報を引き出すために歯を一本ずつ折るシーン。その一つ一つの描写に、これが沖縄に現在も残る暴力の形なのだと思いました。
沖縄にかつて存在した暴力と、今も残る暴力。両方の暴力が読後も胸に残りました。
読みながら、沖縄に向けられる眼差しについても考えました。荒れる成人式が話題になったとき。座り込みなどのデモ活動に「やっぱり沖縄だ」という言葉を投げつけられたとき。抗議活動と暴力は同じではありません。なのに、異なる出来事が「沖縄だから」という一言で片付けられてしまう。その言葉に触れるたび、沖縄と暴力を結びつけるイメージが社会全体にうっすらと根付いているのではと感じます。
暴力はいけない。そこは変わらない。ただ、それを確認するだけでは見えなくなるものがあると思います。なぜ、その人は暴力へ向かったのでしょうか。その背景にどんな生活や追い詰められた思いがあったのでしょうか。
暴力を肯定せずに、その裏にある切実な思いに目を向けることはできるはずだと考えています。「やっぱり沖縄だ」。そのたった一言で理解したつもりになる前に、私はそこに生きる一人一人に目を向けたいです。『はくしむるち』を読んで、私はそう感じました。
