紫香楽 "C線上のアリア" 2026年10月10日

紫香楽
紫香楽
@sgrk
2026年10月10日
C線上のアリア
イヤミスじゃない!? 面白かったけど嫁姑問題、介護問題というテーマ性に対する答えや考えよりもエンタメ性に振られて終わるのがやや勿体なく感じた。(一応それに相当するのは主人公がケアマネになろうとするところなのだろうとは思う。他者が介入したほうがよい) とは言え過去の真相を解き明かすことで、自身も邦彦も自分の現在の環境の中で前向きにやっていく道を選び直せるというのはいい結末だと思う。 二世代に渡って描かれる嫁姑問題と、「結婚相手となったかもしれない家に介入する」という現象の交差が面白い。ロジカルにプロットを組むタイプなんだろうなと思った。 ノルウェイの森を読んでないのでどのくらい内容やイメージが被るのかはわからないのだが、邦彦は初期村上春樹の描くデタッチメントの男感は強かった。 題材的に同じようなことで苦しんでいる女性は多いだろうと思うので、前向きな終わりなのはとてもいいと思った。 主人公が菜穂から得た情報によって再会した邦彦を素敵だと思わないし特に不倫になったりしないのもいい(古臭い小説なら100%不倫しそう) シスターフッド的な要素もあるけどただシスターフッドなだけではなくしがらみや疑念もあるのもいい。 でも個人的には小説にはもっと哲学的なテーマなり答えなりがほしいかな。 とはいえ朝日新聞連載七ヶ月きっかりでこれをやったということは一ヶ月一章でプロットを切ってその通りに書いたということで、その淡々とした堅実な執筆力は作家としてすごいなあと思った。
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