
紫嶋
@09sjm
2026年10月7日
赤い月の香り
千早茜
読み終わった
借りてきた
前作がとても良かったので、シリーズ二作目にあたる本作も読んでみた。
主な世界観や設定、物語の舞台となる空間や主要人物はほぼ同じでありつつも、語り手にあたる主人公が別の人物にチェンジすることで、作品から得られる質感もわずかに変化したように感じた。
前作の主人公の一香と、今作の主人公の満では、性別も過去も心に抱えた傷の形も違う。二人が「香り」に求めるもの、「香り」を受け取った際にどう表現するかも違っているはずで、きっとそれが作品の質感の違いにもなったのかもしれない。
また著者もインタビューで述べている通り、満という新たな語り手が登場することで、一香の纏う空気感や彼女と朔との関係性、繊細な距離感などが第三者目線で綴られることになった。
前作ファンとして、あの後も一香がちゃんと暮らしていけていることや、二人の交流が続いていることが知れたのは嬉しかった。
その一方で、前作よりも明確に二人の関係に対し恋愛のような方向性が匂わされていることについては、妥当なのか蛇足なのか悩むところだなと思う。あえて明言されない良さ、あるいはそういう感情とは別かもしれないという良さは確かにあったと思うので……。
とはいえ今作も、目で読んでいるはずの文章が嗅覚までも刺激してくるような、そんな複雑で奥行きのある香りの世界を味わうことができた。
第三作についてもぜひ読みたいと思う。