
おみみ
@omimi292510
2026年10月4日
対岸の彼女
角田光代
葵が小夜子のナナコになろうとしていたと語られたとき、「あぁ」とため息がこぼれた。
葵にとって小夜子が、ナナコが、どういう存在であるかを端的に言葉にした儚い自白だった。
ナナコは今どこでなにをしているんだろう。もうどこにもいないかもしれないのに、私の知らないと遠くにいると選んだ葵の姿が眩しい。
過去を断絶して、誰も自分のことを知らない場所へ。葵がいたら二人もろとも落ちていく。そんなことを思いながらナナコは旅立ったのかもしれない。
絶妙な耽美的世界だったなぁ。

