
おみみ
@omimi292510
2026年10月11日
心はどこへ消えた?
東畑開人
物語は傷跡である。
辻村深月さんが小説家とカウンセラーは似ていると語る理由がそこにもあるのではないか。
小説の主人公が傷つきもがきながら前に進むとき、私たちの心は揺れる。その傷は、私の傷だと思えるからだ。その傷を抱えながら前に進めるのだと語ってくれるからだ。
私たちが伏線回収に胸を打たれるのは、自分の傷にも意味があると思えるからだ。
私たちは小舟で大海原に放り出されているのだと東畑さんは語る。
私たちは大きすぎる物語に飲み込まれながら、自業自得という言葉を浴びせられながら、不安のなかを生き抜いている。
その時代を共に歩んでくれるのが小説であり、カウンセリングなのだ。「これは私の物語だ」と思えること。時代や社会の一部である私ではなく、私の心を描き、見てくれる。
それを知っているだけで、大海原に立ち向かう勇気が湧いてくる気がするのだ。


