都麦 "火花" 2026年10月12日

都麦
都麦
@tsumugiterao
2026年10月12日
火花
火花
又吉直樹
冒頭の熱海の描写から日本語の粒が跳ねてた。A→Bを「A」も「→」も「B」も言わずにあらゆる方法で鮮やかに伝えてくれるので読者の目の前にはカラーで4K映像が流れる。かと思えば徳永と神谷たちが繰り広げる会話はシュールなお笑いで、その違和感が楽しかった。早々に「そりゃ劇場版作りたくなるよな」と妙な納得感を抱いた。 流れるような読み物で、なんだか通常小説にあるような構造が無い(ような)不思議。チャプターが(或いはその存在感が)無い。登場したと思えば気づけばピークが流れている。それこそ、漫才のように。 神谷サン、ずっと危うかった。人はいつも人生に危うい人を求めているのかもしれないね。そして社会は危うい人を惨めに演出して置き去りにする。 又吉直樹は芸人が好きなのだろう。芸人という生き物が大好きなのだろう。こんだけキツくて、グロくて、救いようの無い話のラストをコレにするんだもん。芸人を愛しているのだろう。 これがリアルだと言ってしまえばそれまでだが、ATM/無料宿/飯炊き係としての女性やその人との関係を美化して描くのだけは積極的に否定したいね。こういうポイントにおいては、結局男が作る男のための部室的夢追い物語になりがちであるという残念さはあった。 🏠帰省初日、寝る前に弟の本棚に見つけた。母が旅行中で不在につき暇すぎて読むことに。1日で読み終えた。久しぶりの小説、おもしろかった。終わってすぐに映画観たけど、観て後悔した。『火花』に漂う知性も哀愁もなにも掬い取れていない、酷いもんだった。
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