Haruhito "新装版 殺戮にいたる病 (講..." 2026年10月12日

Haruhito
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@haruhito27_reads
2026年10月12日
新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)
おもしろかった! 真相が明らかになった瞬間、脳がエラーを起こしたような感覚を味わったわ。 92年に刊行された小説で、その時代性は随所に感じる。 バブル崩壊の頃だが、まだ不景気の雰囲気は作中に見られない。享楽的な都会の喧騒、世紀末はまだ遠く、アッシーくんらしき人間の行動も垣間見える。ケータイは登場せず、テレビ全盛のはずだが最低限にニュースくらいしか出てこない。メディアは時代性を帯びていて、古ぼけやすいので正解かもしれない。不在の父や過干渉の母といった家庭環境、母性を求める幼児性を犯行動機とするあたりは今の感覚だとやり尽くされたものに感じてしまう。ただ、それも鮮やかな叙述トリックで最後には許せてしまう。正確には、トリックで前提から覆っているので、90年代の社会や家庭における世代論の批評はどうでもよくなってしまう感じだが。 元警部の視点は、犯人を追う探偵風のミステリー要素をもっている。しかし、冒頭で犯人が「蒲生稔」であることが明かされており、その異常性愛の猟奇殺人鬼の心理にも大きな比重が置かれている。異常性愛の表象は、死姦にはじまり、断片への愛執(カテゴリー分けされた嗜好性)、再生可能なデータ化と展開していく。アダルトビデオやネットポルノの普及に伴い、女性を性的なモノと見做し、性的消費をエスカレートさせていく男性心理を描いているようでもある。 このように社会や時代の病理を浮かび上がらせようとする意識に、ブレット・イーストン・エリスの『アメリカン・サイコ』を日本社会に舞台を変えたような印象を受けた。
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