てるふぉん "ファイア・ドーム(下)" 2026年10月15日

ファイア・ドーム(下)
作者の辻村深月さんが、山梨県出身だからこそ、参考文献に記載されていた事件をモチーフに書かれていたことがまず読了後の衝撃でした。 辻村さんがおそらく聞いていた噂話のリアルさが、登場する小学生や小さな世界の中の親同士のやり取りだったのかもしれない。 そこに現代のインターネットを混ぜ合わせると、遠い場所で知らない人がとやかく言うような地獄のような空気、描写には耐えられないと思いました。 ファイア・ドームを読みながら、何点か思い返す事件がありました。 事件の渦中は毎日のように報道や速報が流れてきていて、解決したら一時は盛り上がるけれど数週間もすれば人は持ち上げなくなっていく、それは亡くなった方や遺族にとってはあっけなく感じてしまう。 その渦中に関わった人たちの大変さと、離れて周りから見ていただけの人たちとの共感ができない違和感が作中で語られていた。 加えて、大人が忘れないために責任をもって各々の立場でできることをしていたから、作品の中の事件は人々の記憶に残るだろうし、作中からは大人の責任をもった行動と、人を繋ぎ合わせる言葉と信頼関係について深く描きたいのかなと感じた。 犯人の息子達と、被害者遺族の親が四半世紀をこえてお互いが背負い、支え合うラストの描写には乗り越えた壁の大きさが感じられたし、実際こんなにも綺麗に続けていけるのか、私は事件の当事者やなんでもないから分からないけれど、そうあってほしい辻村さんの希望なのかなと感じた。 子供目線から見た大人を、信頼していて助けてくれると思う面と、実際に大人同士の仕事柄、立場をわきまえた行動とのギャップのような面に読んでいてもどかしさも感じるが、 私自身はもう子供じゃなく、大人の側面で立って物事を見なければいけない。 子供が危険な目にあったとき、子供が信じるのは大人で、その大人として誠実な行動と対応を勇気持ってしなければならないと背筋が伸びる気持ちになった。 作品の中で、明かされな事実たちにうずうずしながら読んでいく中で、現代の批判しやすい声や思考、大人の責任と行動について深くメッセージ性を持った作品だと感じました。
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