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2025年4月13日

ジョゼフ・コーネル 箱の中のユートピア
デボラ・ソロモン,
太田泰人,
林寿美,
近藤学
第2章はコーネルが13歳になり、寄宿制私立学校に通わされることになる場面から始まる。父親が死に、その雇い主だったクンハートという男が「男らしい目標や助言を与えるという意味で有益である、同じ年頃の活発な少年たちに囲まれることはジョゼフが悲嘆から抜け出すにもきっと役に立つ」(p.36)と考え、そうするように金まで出したらしい。1917年といえば第一次大戦のさなかであり、ヨーロッパではこの戦争によって「男らしさ」を競い合ってきた男たちの多くがシェル・ショック状態となり帰国した。コーネルのいたアメリカも同様だったはずだし、その反省もなしにベトナム戦争によるPTSDまで突き進むのだから、人類、なにがよろしくないのかわかってないとしか思えない(そしてPTSDという概念および症状は「ベトナム戦争においてアメリカは被害者なのだ」というナラティヴを構築することにも役立ってしまった、ということが『ナラティヴの被害学』では書かれていた)。








