
高卒派遣社員
@hidari_s
2025年4月13日

東京の台所
大平一枝
読み終わった
朝日新聞デジタルマガジン『&W』での連載をもとに2015年に平凡社より刊行。文庫化にあたり2024年に加筆・再構成されたのが本書だ。
たかが台所、されど台所。「こだわりがない台所など存在しない」と断言できるほどに、どれ一つとっても同じものがない。それもそのはず、その家に住んでいる人が違うのだから当然である。ほとんど外食で自炊しないという住人の台所にも個性がある。
本書の魅力は台所あり方もさることながら、インタビューに答える人々の多様なライフスタイルにもある。パートナーや子供達との関係、どんな仕事をしているのかを知った上で、改めて台所をじっくり見ると、そこに映っていない住人の暮らしの息遣いが伝わってくる。
東京の台所の連載は現在も月2回のペースで継続している。個性豊かな台所の姿を通して、変わりゆく東京、ひいては日本の姿を地層のように積み重ねてほしい。100年後、200年後の生活史研究のための貴重な財産になると思った。



