
たま子
@tama_co_co
2026年10月18日
長い一日
滝口悠生
読み終わった
読書日記
毎日日記
昼、京阪電車に乗ってラーメンを食べにいく。移動中も本を読めばいいしねえと、ゆっくり40分かけて準急で揺られながら『長い一日』。車窓をながめながら、秋の空はうすい水色だから白いマンションときれいに映えるな、と思う。透明度がたかい。藤森駅で降りてすこし歩いて目当てのラーメン屋へ。あっさりめの豚骨スープにつかった細い麺に紅生姜をのせて途中で辛味噌をいれて味変。おいしい。藤森は空気がのんびりしている気がする。かえってシピと昼寝、読書。夕方スーパーへ行き、ネギトロ丼と豚汁を食べながらキングオブコントの見逃し配信を半分観たあと、『長い一日』を読み終える。思い立って髪を切り、寺へ行き、ラーメンを食べた窓目くん。ここ数日、偶然自分もおなじようなことをしていたので、境目のわからなさが増していて心地よい。と思って、いやいや寺に行ったのは先週だし、ラーメンなんてしょっちゅう食べるし、別に偶然でもなんでもないわと思い直し、昨日と今日が混じり合うのと同じように、5年も10年も前のことが今日の1日に入り込むことの途方もなさと可笑しみが押し寄せる。やはりわたしは滝口さんの書くものがすきだ。
p214
家の近くの駅まで戻れば、行ってみたいラーメン屋が何軒かあったが、窓目くんはいま戻るのではなく前に進みたい。前進したい。言い換えれば、いい一日になりそうだ、といったところである。いま窓目くんの心中には漠然とした前向きな気持ちと、新しい髪型のもとで生まれる即興の歌が流れている。それは誰にも聴くことができないし、きっと明日には窓目くんも思い出せない。
であればこそ、その歌の歌詞をあとから思い描くこともできる。他人が勝手に思い出すこともできる。
遠くまで行けば行くほど、思いもよらない出来事が自分の目の前に現れるに違いない。まるで旅先の一日みたいに、明日振り返ったら、とても一日の出来事だったとは思えないくらいたくさんの、知らなかったひとや場所、出来事たちが、同じ一日のなかに収まっている。満開の桜、一面の菜の花。美容師の草壁さんと白昼夢のような山陰旅行にも出かけた。結婚も離婚もした。俺のズボンの布地みたいに、どこまでも伸びる一日。そして過ぎてみれば、たった一日。俺のズボンの布地みたいに、縮んで戻る長い一日。
うん、だいたいそんな歌詞だったような気がする、と窓目くんは言う。歌いながら、もうその歌を思い出せなくなることを思っている。







