
秋雨
@akhno_k6
2026年10月25日
津軽
太宰治
読み終わった
紙の本
2026年読了本
古本屋で買った十三版を読んだ。活版印刷で所々文字がかすれてたり、旧漢字が使われてたりして、本として読むのが楽しかった。
太宰治といえば「人間失格」しか読んだことがなかったが、本書を読むと思ったよりも快活で、青森を歩いて回る力強さと行動力があることに驚いた。(ついでにエッセイ作品であること自体にも驚いた。あまり書かなさそうな偏見があった)……が、解説を読むと、太宰治が最も精神肉体共に安定していたのがこの時期で、本書の後に「晩年」へと向かっていくのを考えて少し気持ちが塞がった。
「人間失格」からも暗い物憂げさとユーモアを感じていたが、この本ではそのユーモアな部分が大きく現れていると感じる。彼自身が自分の失態に対して「〜ちゃった」とテヘペロ的な書き方をしてたり、酒を求めてつまらないことをして自己嫌悪と開き直りを自覚しながらつらつらと書いている様子には、人間的なおかしさを覚えた。
やはり時代的に女性蔑視の視点や階級社会的な差別意識のある文章ではあるが、その中でも彼なりに他人を好こうとして自分の中の納得できる答えを探して足掻いているのが伝わる文章で、この作品が評価されることに納得があった。
戦時中の話ではあるが、その世界を感じさせない話しぶりに、当時の人達も救われる気持ちがあったのではないかなぁ、そういうところが、彼の文学が今も愛されている理由のひとつなんじゃないかなぁ、と思った。



