
つう
@mot2tom
2026年10月26日

タイタンの妖女
カート・ヴォネガット,
浅倉久志
読み終わった
読み始め、シニカルにしようとしているのに何かぽやんとしていると感じ、読むのをやめたくなった。シニカルには切れ味を、ぽやんには温もりを期待してしまう。どちらも無かった。
途中、ぽやんとした童話的な文体がまさにシニカルさを演出していることに気付いた。
気付いてからは面白かった。全く違うテイストのシーンが、童話的でシニカルな文体というたった一本の糸で、一つの物語に織りなされている。火星軍隊の杜撰な脱走計画、水星のハーモニウムとボアズ、徹底的に無関心な神の教会、単体で面白い個性的なストーリーが違和感なく繋がっている。
数年前、知人に『スローターハウス5』を勧められて完読を断念した。今思えば、文体がぽやんとシニカルだったからだ。本作が同じ作者によるものだと気付いていたらこの本にも手を出さなかっただろう。
今ならあの本も面白く読めるのかも知れない。
