
犬山俊之
@inuyamanihongo
2026年10月26日
旅して学ぶ台湾
劉彦甫,
山崎直也,
洪郁如,
胎中千鶴,
赤松美和子
買った
読み終わった
台湾
帯の「台湾史入門の決定版」という宣伝文句に偽りなし。
「まえがき」に示されているように、一貫して「台湾から台湾を考える」視点から、日本の読者に語りかけているのがすばらしいです。「この土地」に足をつけて見れば、現在台北にある総統府は、かつて日本が設置した総督府であり、植民統治の時代に残された「傷跡」として理解されるのです。
自分(犬山)が台湾に暮らしながら時折感じるモヤモヤは、台湾に残る日本的なモノ、言葉だったり、建築だったり、習慣だったりを「おもしろがる」日本人が多いことです。観光客の目には「おもしろく」見えるものも、この土地の人にとっては「傷跡」なのだとはっきり書いてある点には、我が意を得たりと思いました。
本書のような作品が生まれるためには、上記の「台湾から台湾を考える」研究や議論の積み重ねが不可欠でしょう。「台湾の歴史」とは何か、それをどう若者に教えるのか。さらに、それを他の地域の人にどう伝えるのか。そうした実践の積み重ねの結果の一つが本書なのです。
翻って、日本はどうでしょうか。例えば『旅して学ぶ日本(仮)』のような作品が書かれるでしょうか。そこでは、日本の植民地支配を、他の地域の人にどう説明するのか、或いは、従軍慰安婦と呼ばれる被害者の方々のことを、被害を受けた地域の人に説明する言葉を、我々日本人は持っているでしょうか。日本人は自身の過去の加害を語る言葉をまだ持ちえていない。
本書は、そういう点をも、日本人読者に突きつけてくると思います。少なくとも、私は本書を読みながら、ずっと「日本は?」と問いかけられている感じがしました▼









