
もちもち
@o0o0
2026年10月27日
謎のチェス指し人形「ターク」
トム・スタンデージ,
服部桂
読み終わった
「AIの祖先」……というのは言い過ぎに感じたが、タークを巡る「機械仕掛けはチェスを指せるか?」という問いは面白かった。
興味深かったのはこの「タークは本当に機械仕掛けなのか」という疑問の時代による変遷だ。
本書223ページには次のような記述がある。
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タークの公開された初期には、それが完全に機械だけで動いていると信じることは法外な話ではなく、多くの教養ある観察者がそう信じていた。18世紀末という時代は、機械装置によって開かれる可能性は無限に思われ、ある人々にとってチェスを指す機械は、蒸気機関や織機よりほんの少しすごいものにしか思えなかったのだろう。
しかし後年になると、タークが純粋に機械仕掛けで動いているという話の信憑性は薄れていった。鉄道の機関車や電信などの複雑な機械が日常的に使われるようになり、19世紀中盤の人々は機械に何ができて何ができないか について、より正しく評価できるようになっていた。
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当初は「存在してもおかしくないもの」だったタークは、技術の進歩と普及を通じて「あり得ないもの」に変わってしまった。
だが、2026年の現在では「チェスを指す機械」はごく普通に身近にあり、スマホでチェスアプリを開けばAIと対戦することができる。
私にとって「チェスを指す機械」はありえないものではない。
それゆえに、この本を読み始めたとき、私は「もしかすると、これほど昔にAIに近い機械を創り出すことができたのだろうか?」とタークの存在を自然に受け入れてしまった。
AIの進歩はめざましい。
私の目にはAIに不可能はないように映る。
だが、タークの晩年の哀愁は、AIの辿る未来にも思える。
タークと同じく、その魔法が解ける日が来るのかもしれない。