
ケイ
@flyingkei
2026年10月29日
修道院覚書
ジョゼ・サラマーゴ,
木下眞穂
読み始めた
『ツァラトゥストラ』は物語ではないので、海外小説も同時進行で読めるな…と気づいて着手。
冒頭〜85ページ
ポルトガルの宮殿におけるある夜の情景から始まる本作は、国家の中枢から修道院の聖職者、市井の民衆まで様々な立場の者たちを大きく俯瞰するようでもあり個別具体的に解剖するようでもある豊穣な語りによって、賑わう雑踏をかき分けていくかのような印象をもたらしつつ進んでいく。
若きポルトガル国王と念願の子をなした王妃、戦場で左手を失った元兵士・バルタザールと物の内側を見通す不思議な目を持つ女性・ブリムンダ、人力飛行を目指すロウレンソ神父…85ページ時点ではこれから交錯していくであろう物語の主軸を担う者たちが軽く紹介された程度といったところ。タイトルからして冒頭で約された修道院建立は成るのだろうということも予想されるけれど、物語世界の全容はまだまだ霧の中である。
サラマーゴの独特な文体、時間や場所がするりと横滑りして別の場面へ移動していく様や、かぎ括弧なく地の文に会話も混ざっていくスタイルが、即物的でありつつ幻想的でもある独自の世界観とあいまって唯一無二の没入感をもたらす。読んでいて大変楽しい。

