
和月
@wanotsuki
2026年10月31日
絶望しかけた女子のための世界史
ティチュー・ルコック,
鳥取絹子
読み終わった
本書は「見えなかった歴史」に光をあてる、という視点で先史時代から現代に至るまでの女性の史実を描いている。
著者がフランス人であるため、中世や近現代はフランスを中心に記述している。
そのため、バカロレア等のあまり馴染みのない言葉が出てきて、逐一調べながら読んでいた。
学びとしては今まで知らなかった知識、教科書で学んだものとは別側面の歴史が記されており、非常に興味深かった。
その反面、邦訳には少し疑問も残る。
あとがきによると、原書の直訳では「忘れられた偉大な女性たちー歴史はなぜ彼女たちを抹消したのか」というタイトルになる。
直訳から本書を読めば、今「世界史」とされている道筋が如何に作為的なものであるかを感じながら、私達が学校では出会えなかった偉大な女性たちを知る本なのだと分かる。
一方で、邦題の『絶望しかけた女子のための世界史』となるとどうだろう。読者を「女性」に狭めてしまう可能性が高く、絶望しかけても世界史を見れば希望が抱けるのか?と期待した読者は、悉く打ち砕かれ閉じ込められる女性達を知ってかなりショックを受けるのではないだろうか。
また、フランス語特有の言い回しもあるかもしれないが、和訳だとどこかぎこちない文体も気になった。接続詞やてにをは等に引っ掛かり、内容を理解するのに時間を要することもあった。
ただ、やはり女性の歴史を丁寧に調査して、わかりやすい言葉や要点をまとめながら進んでいく点は素晴らしい。
先史時代の定住から広がった家父長制やフランス語の女性名詞の話、ボビニー裁判等、この本が無ければ知らなかった歴史が沢山あり、読めてよかった。
特に、アルテミジア・ジェンティレスキという女性画家と出会えたことは得難い財産になった。

