
ロッタ
@rotta_yomu
2026年10月30日
ブルックリン・フォリーズ
ポール・オースター,
柴田元幸
読み終わった
「私は幸福だった。わが友人たちよ、かつて生きた誰にも劣らず、私は幸福だったのだ」めーーーーーっちゃよかった!わたしたちは消えて、消えたことすら忘れられるけど、人生って愉快じゃない?とウインクされた気分。
主人公はもうすぐ60歳の男ネイサン。がんを患い治療は終わった。けれどいつ死んでもいいと思っている。離婚もして仕事もやめた。終の住処としてブルックリンに引っ越してきた。そんなネイサンが、甥、甥の雇い主、娘、元妻、姪、姪の娘...手を伸ばせば届く範囲の交流を通して、彼の彼らの愚行(フォリーズ)を記録していく...。という話なんだけど、この小説にあらすじなんて野暮。
無名の彼らのナンセンスで馬鹿馬鹿しい愚行たちは、笑いと悲しみ、美しさと滑稽さ、愛と憎しみに包まれていて、それらは表裏一体なんだとよくわかる。ああ、今日も空はきれいだとか、すれ違う犬が今日も元気だとか、なんとなく買ったパンが美味しかったとか、空気が秋になったとか、そんななんでもない、つぎの瞬間には忘れてしまうような一瞬の幸せを手のひらに少しずつ貯めて、両手いっぱいにして、思いっきり空に放り投げたら、そんな幸せのきらめきをかき集めたら、きっと、ブルックリン・フォリーズになる。
幸も不幸も、善も悪も、愛と憎しみも、すべてひっくるめて、それも人生なんだとひとり微笑む一瞬があるのなら、そうならば、わたしたちの人生って案外悪くない。










