
あんどん書房
@andn
2025年4月11日

蟹工船/党生活者改版
小林多喜二
読み終わった
@ 電車
十五年戦争に関する書籍の読書会に参加した。その初回課題本が『蟹工船』だった。
さすがに名前ぐらいは知っていたものの、なんとなく難しそうで敬遠していた。でも読んでみると面白かったし、何より構成がめちゃくちゃ映画的。
特に中盤の、スト決行からのどん底に落とされる流れは読んでてだいぶショックだ。
冷静に描写されていく過酷な労働環境があまりにもエグいので、どうしても半目で読んでしまう。今の時代に生まれてよかったぁと思っちゃうけど、でも世界のどこかしらにはまだこれが残ってたりするんじゃないか、というのも頭を過る。なにより紛争地や独裁国家の内情は近いんじゃないか。
ちなみに読書会では英訳版を読んだ方もいて、方言の翻訳についての話はなかなか興味深かった。方言は「汚い英語」に訳されてるらしいが、でも実際方言自体は汚い言葉じゃないよね、と。むずかしいよなぁ。
「党生活者」は共産党お仕事小説だった。
国家権力から追われながら党員として動き回る主人公の立場は、著者自身の地下生活経験に基づいているらしいがかなり緊張感がある。
一方で、革命のためには個人の犠牲は辞さないみたいなところには、きな臭さも感じる。もうこれは時代が完全に悪いんだが。NoなことにはNoって言えて、デモでもストでも堂々とできる世の中で良かった…。
(いや、巧妙に分断させられてあらゆる責任が自己に問われる現代のほうがアレなのか…? まあでも少なくとも虐殺されることはないし)
(旧版)
本文書体:岩田細明朝体
カバー:上野泰郎


